クロスバイクはランニング感覚での有酸素運動やお散歩やお買い物、シティサイクルよりも快適に移動したい!といった幅広いニーズに応えられる最も「生活」に溶け込むスポーツバイク。
泥除けやキャリア、キックスタンドも取り付けられるマウントが各部に用意されており拡張性はスポーツバイク中最高クラス。

今回はご依頼頂いたメリダのクロスウェイ300Dのご紹介とあわせてクロスバイクの選び方、見方を簡単にお話してみます。
目次
クロスバイクとは…
クロスバイクはロードバイクやマウンテンバイクほど本格的ではなく、気軽にスポーツバイクをはじめてみたい!という方に選ばれるタイプの自転車。
そのため2000年ごろの登場以来国内の出荷台数は右肩上がりで、その他のスポーツバイクよりも多く、各社さまざまなタイプやグレードが充実している激戦区です。
ただ狭い価格帯に各社がモデルを詰め込むのでいまいち差が分かりずらいうえにロードやマウンテンに比べ趣味性が低くなるため、モデルチェンジやアップデートはあまり行われませんしニュースにも取り上げられることが少ない状況。
さらに昨今の市況からセールの広告ばかりで具体的なクロスバイクの特徴や性能が語られることがないように思います。
カタログスペックを比べて重量どれだけ軽いか、シマノコンポがどれだけ使われているかが過大に注目されてベストセールスが決まるような感じですね。
それではあまりに味気ないですのでクロスバイクの性格を決定するその他の要素を解説してみましょう。
クロスバイクの簡単な分類
クロスバイクは主にロードバイクに近いタイプとマウンテンバイクに近いタイプ2種類に分類されます。数字は独断による目安ですし完全に分類されるわけではありませんが、概ね下記のように表すことができるかと思います。
例)700c クロスバイク | ヘッドチューブ長(mm) | チェーンステー長(mm) |
ロードタイプ | 短い(100〜150前後) | 短い(400〜430前後) |
マウンテンタイプ | 長い(150〜200前後) | 長い(440〜460前後) |
ロードタイプはハンドルが低めで前傾姿勢が大きく、体幹を使った負荷の高い運動になりやすいのでスピードを出したい!全身運動をしたい!といった希望がある場合はこちらが向いています。フラットバーロードと呼ばれたりもしますね。
また、短いホイールベースは軽快でダイレクト感ある挙動になりやすくバイクの重量も軽く仕上げられる傾向があります。カーボンフォークの採用や28ミリ前後の細めのタイヤがつく事が多いです。
対してマウンテンタイプは高いハンドル位置からくる広い視界と長いホイールベースによる直進安定性の高さで恐怖感の少ない走行が可能です。
移動速度は求めない、荷物を積載する必要があったり雨天時も利用する可能性がある場合はこちらのタイプが向いています。より安定感を得るため幅広いハンドルやサスペンションが搭載される事もあります。32ミリより幅広いタイヤが装着される事が多いですね。
タイヤ幅やハンドル幅などは部品交換が可能ですが、フレームの特性を活かすパーツチョイスになっている事が多いのであまり大きく変更しない方がメーカーが狙った特性が崩れずよいかと思います。
クロスウェイの特徴
クロスウェイシリーズは上記の例から当てはめるとマウンテンバイクベースの構成になりますので、安定感があり前傾姿勢がキツくない、はじめてスポーツバイクに触れるという方でも安心して乗りこなせるクロスバイクです。
部品構成は“アルミフレーム、スチールフォークにコンポーネントはシマノのアルタス8速”近年のクロスバイク界でトレンドとなっている油圧DISCブレーキを装備していてタイヤは32ミリ幅。
似た構成のバイクはジャイアントのエスケープR DISCやスペシャライズのシラスなど市場にいろいろ見つかりそうですが、カタログスペックに現れない特徴的なポイントをいくつかピックアップしてみましょう。
最も特徴的なのはメリダ得意のアルミチューブ変形技術(TFS)により複雑に加工されたダウンチューブとトップチューブ、チェーンステー。


切削や溶接加工をせずアルミチューブを任意の形に変形するこの技術によりダウンチューブやヘッドチューブまわりの剛性を確保。ブレーキをかけた際に引っ張られたり圧縮されたりコーナリングの際にねじれるチューブの変形を抑える事で挙動が安定し、扱い易く怖くない挙動になっています。
反対にチェーンステーはカーボンバイクのように扁平させて突き上げを緩和しつつ左右のねじれを抑えていますので乗り味もマイルド。

また、凹型に変形させたダウンチューブにフルアウター配線を隠しているという個性的なデザインはケーブル交換の頻度を少なくしつつ、他社に良く採用されるフレーム内装式より交換作業が簡単に出来るというハードワークに晒される可能性の高いクロスバイクにおいてベストな仕様ではないでしょうか。
ここまでアルミチューブを複雑加工しているクロスバイクを知りませんが、外観からは殆ど分からないところがもったいない…
また、DISCブレーキのストッピングパワーを受け止めるために高い強度を持ったスチールフォークを採用しており、曲がる、止まるといった挙動に安心感があります。

実は2019年にクロスウェイ初の油圧DISCブレーキ搭載である300-Dグレードが発売されたタイミングに合わせてフォークがマイナーチェンジしているのも本気度がみてとれますね。
使用されるDISCブレーキはシマノのBR-MT200なのでスモールパーツの確保や保守も日本中どこでも行いやすくなっています。

クロスウェイシリーズは同じフレームで油圧DISCブレーキの300-Dと機械式DISCブレーキの200-MDの2グレードがあり、それぞれ4色の展開ですので合計8種類のバリエーションから選ぶことができます。
フレームサイズは145cmから乗車可能な「38」からはじまり「41」「46」「50」の4サイズ展開ですのでほとんどの方に無理なく快適に乗車してもらえます。
最後に
7月1日より解禁された小型電動キックボードがなにかと話題ですが、クロスバイクは免許もいらず価格もこなれており入手しやすく、日本全国どこでも整備が可能で機械的な安全性も十分。移動速度も出て運動もできるといい事ずくめ。
改めて個人の手に入れることのできる最も身近なモビリティとして、これまで以上に需要は増えてゆくでしょう。
そのうえクロスバイクはただの移動手段としてではなく、ホビーとしても楽しめる「スポーツバイク」であることも忘れてはいけません。
最初は「移動の手段として」で構いません、自力で進む自転車という乗り物の魅力に1人でも多くの方々に気づいていただけるようにお手伝い出来ればと思っております。
最後に、色々クロスバイクについて語ってみましたが一度買ったらそうそう買い換えない大切な1台。
自分の用途やデザインの好みを最優先で検討し、目に見えるスペックや価格だけでない点に注意したクロスバイク選びをしてみてはいかがでしょうか。店頭には同じくクロスウェイ300-Dと200-MDの在庫もございますので実物でサイズを確認しつつご検討頂けます。


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本日はここまで、ありがとうございました。
スポーツバイクメカニック 横山ヨーイチ
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